最近はいつも激しい方向性ばっかりだったので、今回は違う方向性の物をレビューしてみたいと思います。「ent」の2枚目のアルバム「Entish」、2012年の作品になります。
「ent」はロックバンド「ストレイテナー」のホリエアツシ氏によるソロプロジェクトなのですが、「ストレイテナー」のような攻撃的ではなく(最近の作品除く)、エレクトロニカが入ったロックというか、ロックが入ったエレクトロニカというか、とても聞き心地が良い音だと思います。
Entish
今作「Entish」はエレクトロニカな部分は多いながらも美しいメロディも多々あり、エレクトロニカ的なのはちょっと苦手というような人にもすんなり聞きやすいんじゃないでしょうか。
全体として透明感というか浮遊感というか、最初の曲から最後の曲まで通して感じるイメージとしてはフワっとしているのですが、そこまでエレクトロニカなのかというとしっかりリズムもあるのでそうでもないという、メリハリがついているのが良いと思います。
ですが、最後の2曲「Lens」、「At The End Of The Blue Sky」で切なさ・儚さが加わって、アルバムとして物凄く綺麗にまとまっています。
思いっきり涙腺が緩むタイプの美メロディでの締めは個人的には非常にズルいと思わざるを得ないのですが、この2曲がなければアルバム全体としての評価は正直しにくいというか、よくある感じのエレクトロニカ成分が入った作品というところまでしか行かなかった気がします。
「At The End Of The Blue Sky」のフェードアウトから最初の曲へのリピートも自然に入ってくるので、そういった点も非常に個人的には高評価です。
最初の曲が1日の始まりで、最後の曲で日が沈む。そんな錯覚を少し感じてしまうような、リピートすればするほど味が出る、そんな作品だと思います。
こういったタイプの曲も作れるホリエアツシ氏のセンスに脱帽します。
また「ent」の新アルバムが2017年1月11日に発売されるという事で、個人的には非常に期待しています。
何かと忙しい日々を過ごす事が多い現代人にとって、たまにはゆっくりした音楽もどうですかと、少しまともな感じでオススメしてみます。
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